うみゆり日記(新)

錦見映理子の日記です

桜桃忌

ついに髪をばっさり切った。ベリーダンスを習い始めて約8年。人前で踊れるようになってから、ずっと長く伸ばしていた。髪を使う振付が多いので。けど、もうそろそろ切りたいなあ、とずっと思っていた。

2年ぶりに行く美容院。

なぜ2年ぶりになったかというと、太宰賞選考後の美容院を使わねばならない行事(ムック用撮影と授賞式)が全て火曜日であったため、いつもの美容院が休みで使えなかったから。仕方なくネットで火曜日やっている近くの大手サロンにお願いした結果、技術的にかなりよかったため、以来そっちに通うようになってしまったのだった。

旧美容室は、小さな個人店だ。大手から独立したときに、一緒に私もついていった。非常に人柄のいい美容師さんだったからだ。こんなにリラックスできて無理にしゃべったりしなくていい美容師さんは初めてだった。

というわけで母にも親友にも紹介して、みんな気に入って家族ぐるみでお世話になっていたのに、2年前以来ふいに行かなくなってしまったのだった。

大手サロンはさすがの技術だったしネイルも同時施術できて便利だったけれど、かなり高かった。お金をかけた分、髪の傷みは改善されてつやつやにはなったが、そろそろ旧美容室に戻ろう、とコロナをきっかけに、ひさしぶりに行くことにしたのだった。

客は私ひとりだった。密にはまったくならなかった。
のんびり切ってもらった。美容師のAさんは、母がプレゼントした私の本を読んでくれたようで、あれドラマとか映画にならないかなあ、でも先生役が難しいよね、と言った。2年ぶりという感じは全くしなかった。会計の時、やたら安かったのでびっくりしたら、時間経っちゃったけどお祝い、と言われた。何もできないけどがんばってね、と。

そういえば、今日は桜桃忌

2年前、太宰賞受賞者の恒例として、三鷹市の広報紙に寄稿するために太宰ゆかりの地を案内していただいた。2年前も雨だった。やたらと入水現場に興味津々で地元ガイドさんに質問しまくる私。ついに現場に行けてよかった、と興奮気味に会食時に市長さんに言ったら、「でも、三鷹市は『太宰の生きた街』だから」と釘を刺されたのだった。(確かに、死んだ街ではイメージ悪い…)

それでもどうしても私は現場を見たことを書きたくて、書いてしまった。『斜陽』が好きなのだ私は。この機会に、山崎富栄の手記も読み直してきた。ここから歩いて、ここまで来て水に入ったらしい、と玉川上水沿いを歩いたことは、本当にここで生きていたんだな、ということを初めてありありと感じさせられた体験だった。

2年経って、自分がこんな風になっているとは、いろんな意味で想像していなかった。今年ももう半分が過ぎてしまった。あと半分どんなことがあるのだろう。望みは一つだけ。叶うだろうか。

そんな今日ですが。

てちの誕生日まであと6日となりました。迫ってきましたね!(と誰に呼びかけているのか)

しつこいようですが、てちの誕生日である25日は、たまたま自分のラジオの出演日に当たるので、紹介する一首も映画も、平手友梨奈さんのことを思って作ったり選んだりすることになります。もちろんそんなこと聴いている方々には関係ないし、知らないわけですし、私も通常通り仕事する。けれどもてちのことを考えずにやることはできないので、勝手にさまざま反映されることになります。

映画は昨日発表(大げさ)したように、櫻の園です。いつかやろうと思っていた作品です。これをなぜてちの誕生日に選んだかはもちろん本番では話しませんが、このブログには出演を終えてから少し書くかもしれないし、全く書かないかもしれない。ここを読んでくださっている数少ないてちファンの方で、映画を観て下さった方がいたら、きっと感じて下さるかなあと思っています。

とか勝手に盛り上がっていますが、てちに迷惑かけないように静かにしているべきという気持ちもふっと湧いたりもする。めんどくさいオタク心理なのであった。