うみゆり日記(新)

錦見映理子の日記です

文庫化と今後のお知らせ

拙著『恋愛の発酵と腐敗について』が小学館文庫に入りました。
解説は中江有里さん。中江さんにはNHKで本書をご紹介いただいた上に、さらに解説まで書いていただけて本当に嬉しかったです。ご多忙中ありがとうございました。

単行本と同じく、装幀は名久井直子さん、装画は箕輪麻紀子さんです。
絵は同じですが、背がピンクになったり紙がつるつるになったり、だいぶ印象が変わりました。届いて開けたとき、かわいい!かわいい!と一人で興奮。今も机の上にあるのですが、見る度に「かわいい」と呟いてしまいます。

ぜひ書店で、小学館文庫の棚を探してみてください。

単行本リリース直後から、多くのメディアで取り上げていただき、ご紹介いただいたおかげで文庫になったと思っています。年末には思いがけず「本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞」にも推薦していただきました。また、これまで途切れず上がり続けているインスタを中心とするSNSやネット上のたくさんの感想、そして何よりも買ってくださったお一人お一人のおかげです。ありがとうございました。

正直、自分の本が文庫になるなんてことがあるとは夢にも思っていなくて、もしそれが可能になるとしたらもっともっと先だと思っていました。何か奇跡みたいなことが起きない限り、無理だと思っていました。
なのでこのたびの文庫化のお話をいただいても、なかなか信じられませんでした。ゲラが来ても、ほんとなのかな?とまだ思っていました。
AppleBooks先行を経て、単行本リリース、そして文庫で三度めのリリースになります。そのたびに改稿することになりました。
文庫に際しては、直すつもりは全くなかったのですが、組み直したゲラを読んでみると、なぜかどうしても書き直したい部分が出てきて、いくつかの場面をかなり変えました。でも、ストーリー的には変化はありません。印象はちょっとだけ違うかもしれませんが。
読後感がもっと良くなったように思うのですが、どうでしょうか。

というわけで、これが完全版になります。
たくさんの方に買って読んでいただけますように!!
そして、いつかデビュー作を文庫にしていただく夢も叶えたいです(悲願)。そのためには自分がこれから書くものがもっと世に出ること、そして多く読まれることが必要です。まだ新人なのでそれがなかなか難しいんですけれども。

最近、ずっと苦手意識のあった短編をついに書くことができました。しかも、ずっと書きたくて、でもどうしたら書けるのかわからなかった内容のものを。書いているあいだひたすら楽しくて、夢中でした。

来週出る「小説新潮」9月号に掲載予定ですので、詳細はまたTwitter等でお知らせします。すごく読んでいただきたい。そして感想を知りたい。

文庫も雑誌掲載の次作も、どうか宜しくお願いいたします。

綱渡りの日々は続く……。
自分にとって面白いものをもっと書きたい。そのためにもっと技術を磨きたい。
どうかこれからも見守っていただけたらありがたいです。