うみゆり日記(新)

錦見映理子の日記です

ラジオとかてちとか

毎週木曜日の朝八時半から、NHK第一の「らじるラボ」という番組に出ている。四月から始まった新番組だが、初回だけはスタジオから予定通り生出演できたものの、すぐに緊急自体宣言が出て、以来ずっと自宅から電話で生放送に出演することになってしまった。

新番組が始まったとたん、こんなことになるとは。

そもそもなぜ私がラジオに、しかも生放送に?というのはいまだによくわからないしびっくりだ。しゃべるのがうまいわけでも有名人でもないのになぜ私?

始まってわりとすぐに、「自分でいいのかな、そもそも話し下手だからものを書いているわけで、しゃべる仕事は向いてないと思うんですけど・・・」とスタッフの方々に弱音を漏らしたら、いやいやすごく向いてますよみたいなお答え。長年その業界で働いているプロの方がそう言うのだから、自分にはわからぬ適性が何かあるのだろう、ととりあえず悩むのはやめにした。

とはいえ終わるたびに様々な不安がよぎる。毎週めちゃくちゃ緊張するし、慣れないことをしている感じが拭えない。準備もすごく大変。生放送と収録って、こんなに大変さが違うんだな。

毎週自分の体力にあまるような高い山を乗り越えている感じがしてダメージがでかい気がするが、そのうち体力がついて慣れて楽しめるようになったりするのかな。早くそうなってほしい…。

不安になったりダメージを受けるたびに、てちのことをよく考える(知らない方への注・「てち」とは平手友梨奈さんの愛称です。ファンなんです)。

てちがプレッシャーやら不特定多数からのバッシングやらですごく大変だったろうということは想像できていたつもりだったが、足りなかったな、と思うようになった。私がこの4月以降感じているあれこれの、何千万倍もてちは大変だったろうな、ということ。想像なんてつかない。

それがわかっただけでも、良かったのかもしれない。メディアに出ることって、やってみないと絶対わからないことが多い。特に生放送とかライブで不特定多数の人に向かって何かするということは。

しかし一番いま自分がしんどいのは、スケジュールがうまく立てられなくなっていることなのだった。生放送って、次々仕事が変化しながら押し寄せてくる感じだから。事前の予定が非常に立てにくい。

今までは月の前半に細かい単発仕事(原稿や結社誌の仕事や短歌講座など)を済ませ、後半は山の家に移動して小説を書くのに集中する、という風にスケジュール調整していたが、コロナのために静かな山の家にも行けず、ラジオが始まってからは連続して集中する日々の確保がうまくできなくなってしまった。

これはやばい。めちゃくちゃやばい。どうしたらいいんだ~書き下ろしが終わらないんだけど~

それでもやらねば。なんとかして。ラジオのスタッフの方には折々わたしがてんぱるのを受け入れていただいていて、ありがたいことではある。こんな私でいいのかほんとにわからないけど、できる限りがんばろうと思っている。基本まじめだし。だからなんとかしないと。

応援宜しくお願いします、というのはてちも欅ちゃんたちもいつも言っていたことだけど、それは本当に本当に切実な言葉だったんじゃないかといま思っている。

今日のまとめ。与えられた仕事をがんばる。書き下ろしを終わらせる。てちをもっと応援する。