うみゆり日記(新)

錦見映理子の日記です

入試問題

この春、ある高校の国語の入試問題に『リトルガールズ』が使われていたことを知った。

著作権使用許諾についての書類が送られてきて、初めて知った。今後五年間、過去問集に載るらしい。

仙台の高校だった。女子が多そうな。大学の附属高校なのかな。

コピーが入っていたので問題を解いてみた。全部わかったのでほっとした。

中盤の、雅子が猿渡にいらいらしてきて、買い物して憂さ晴らししたつもりが、なぜかふたたび学校に戻ってきてしまう場面。大事な言葉が出てくる、少し前。ここを書いたときのことを久しぶりに思い出した。なんでこんな言葉が出てきたのか、と不思議だったのですごく記憶に残っている。この場面を書いてからやっと初めて、これうまくいく可能性があるかも、と少し思った。

穴埋め問題がけっこうあり、自分が書いたからすぐわかったけど、これ、前後を知らずに解くのけっこう難しいのでは、と思った。よく読むとわかるんだけど。

家族がやってみたら、わからないのもあった。

私は参考書とか過去門に出てくる文章で気に入ったのがあると、すぐその本を買って読む子だった。大人になるのがすごくこわかった中学生の頃の自分に、大人になったら自分の書いた文章が入試問題になったり過去問集に載ったりするようになるんだよ、と言ったら、少しだけ未来が楽しみになったかもしれない。

こんな年になってから、18才(もうすぐ19)の芸能人のファンになったり小説が入試問題になったり生放送に毎週出たり、初めての体験だらけになるとは夢にも思わなかったし、もう「初めて」がなくなってくる年のはずなのに結構しんどい、と思わないでもないけれど、なんとか元気出していこう、と思った。

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てちの誕生日まであと3日だしね。

この春こんなことになってしまったために、テレビ等で過去の欅の映像が流れたりライブ映像を見たりする機会が何度もあって、観たことがあるものも全て観ずにはいられないわけだけれど、同時に「もう欅でてちがパフォーマンスすることはないんだな」ということを確認する感じもあるのがなかなかしんどくもあった。観たいけどそれがつらい。これからたぶん、新生欅坂46はかなり違う感じのグループになっていくだろう。それは当然だし、そうなったほうがいい。でも、それを観るときっとしばらくは複雑な気持ちになるだろう。応援はする。けれどファンではなくなるのかもしれない。

欅のてちがもうみられないこと。そのつらさを忘れられる可能性のある方法が一つだけあって、それは、これからのてちの活動をみることだ。がっかりする可能性も普通だったらあるかもしれないけれど、てちに関してはきっとない。毎回想像を上回るものを見せてくれてきた。だからこれからもきっとそうだということに疑いはない。脱退を知った瞬間から、その気持ちは変わらない。