うみゆり日記(新)

錦見映理子の日記です

森の木々と共和国

 豪雨被害の地域が心配。母が子どもの頃久留米に住んでいたので、幼少期に雨がひどくなって家の屋根にみんなであがって救助を待った、舟で救助を呼びながら流れていく人を見た、庭の大木のおかげで家が流されずにすんだ、などの話を繰り返し聞かされて育った。

風の谷を森が守ってるって話(またナウシカ)をみるたびに、うっすらそれを思い出す。

そういえば、都知事選の結果が出たときもナウシカの台詞を思い出しました。「燃やすしかないよ。この森はもうダメじゃ」という大ババさまの台詞です。胞子が残っていて、谷を三百年守ってきた森の木々がやられてしまったのがわかった後の。

 

ナウシカだけでこの世の全てを語ることができるんじゃないの?

 

もう雨ひどくならないでほしい。梅雨の時期にラジオで雨の歌を読もうと思っていくつか作ってあったけど、やめた。なんか強い雨の歌ばかりになっちゃったし。

東京もひどくじめじめしている。体が重くなりがち。

週に二度も徹夜するはめになり、毎回こうならないようにしようと思うのに気づくと朝になっていたりして、まずい。全く寝ないということはないので大丈夫だけれど。いま週に一度締め切りが来るので、それによって中断するものを再開させるのに時間がかかってしまうのだ。何とかしないと、と思うが、焦るほどに時間が飛ぶように過ぎていく。

去年の今ごろ、欅共和国(夏の野外コンサートです。共和国というコンセプトはてちの提案らしい)にツアーバスに乗って行ったんだったな、と思い出す。雨がずっと降っていて、寒かった。バスの席は行きも帰りも女の子が隣で、前にもお母さんと小さい女の子、後ろも女子二人組だった。あの頃は欅友だちがいなくて、私は前年同様一人で行った。でもTwitterで前日に行った人たちからこれ持って行くと荷物濡れないよ、とかキャップかぶるといいよ、とかアドバイスしてもらってほとんど濡れずに済んだ(前年は後方だったのにかなり濡れた)。前から十列目くらいの良い席だったのだが、右寄りだったので、てちは全く近くに来なかった…。もんちゃんがすぐ目の前の花道を通ったけど、目を伏せて笑顔なく、ほぼファンを見なかった。そうだね、無理して愛想を振りまかなくていいよ、と思いながらそれを見ていた。

もう欅共和国に行くことはないだろうな。

女の子たちの統治する、小さな共和国。まわりを木々が囲み、背後には山が見えた。夜になると国民たちは緑のペンライトを点して、国王の登場を待った。最後には花火が打ち上がった。もうあの国はない。また別の王があらわれて、新たな国ができるのだろう。