うみゆり日記(新)

錦見映理子の日記です

不易

10年近く通っていた大手ダンススタジオの退会手続きをした。落ち着いたらまた行こうと思っていたが、当分無理そうなので。チケット少し無駄にするけれど、仕方がない。コロナが落ち着いたら再入会しようと思う。

手続きに行ったついでに、三ヶ月半ぶりにレッスンに出てみた。人数制限があると聞いていたから、すいてるかと思ったら、前と変わらぬ人数。

毎週zoomで同じ先生のレッスンは受けているのだが、やはり広い場所で鏡でちゃんと見て踊ると全く違う。先生の動きもよくわかった。立体的な動きが、zoomではよくわからないのだ。

先生の個人スタジオはやめないつもりなので、これからもzoomで参加しつつ、秋頃からはスタジオにも参加したいと思った。人数が少なそうな時に。

都心には人が多すぎる。人との距離を空ける、という概念がすでにもうなくなっているようだけれど、どうして? もう大丈夫ってことになったんだろうか。

映画館はちゃんと席を空けて一つおきに座る方式。さまざま対策しているけれど、ここにはまだ人が戻っていない感じで、心配になる。

そんな自分もこの三ヶ月で、配信で観る方が楽だし安心だなと思うようになってしまった。あんなに、映画館で絶対観るべきと思っていたのに。

映画館で観ないとわからないことはたくさんある。「薄氷の殺人」を映画館で初めて見たとき、何かが起きる一瞬前に、誰も動いていないのに「あっ起きるな」というのがわかる場面が何度かあって、観客の神経を研ぎ澄ましていく画面構成にしびれたけれど、そういうのもたぶん映画館だったから感じたのだろう。

そういう大事なことが、知らないうちに少しずつ自分にとって大事ではなくなっていくようで、心配だ。人は易きに流れてしまう。

変わるって言えば、昨日着た夏服が微妙にきつきつだったのだが、体重あまり変わってないのに体型が変わったのかな。こんなに生活が変化すればそりゃ体型くらい変わりそうなものだけど、人前で踊るために普段非常に気をつけてきたしお金もそれなりにかけてきた、あれらの努力は一体なんだったんだ、もうどうでもいいぞ体型なんか、と思うこのごろなのだった。マスクで顔が見られないのもとても楽(自分の顔きらい)だし、服を買う気もかなり失っているし、こうした興味関心はコロナが落ち着いてから元通りになるのかな。